2017年9月14日木曜日

旅に出る8

チャリアダンス
1日目、朝から街中を歩いてみた。まず自分のいる場所を知るために私はひたすら歩く。歩く速度は車や自転車と違い、人に出会うことができる(時々うざったいこともある)。その代わりすぐ道に迷うので結構危険。その日は朝6時過ぎから音の収集をしながら街の広場へ向かって行った。広場でガイドのおじさんに捕まる。英語で返しても日本語を話し続ける、そしてしつこい。何をしているんだと聞くのでダンサーだと答えたら、それはチャリヤダンスをやるべきだという。マスターを知っているから行ってみようという。朝7時なのに。(一歩間違えるとただの迷惑だと思う)当然マスターさんはいなくて9時ごろに勝手に出直すことにする。
チャリヤダンスとはネワール仏教の思想に基づいた動く瞑想ともいうべきダンスで、日本では岡本有子さんという方が紹介している。そういえば前に一度須藤先生のところでお話を聞いたことを思い出し、彼女は移住してNYをベースに活動するグルを招いていたけれど、ネワールの実態はどうなのだろうと思い、伺ってみることにした。
チャンドラマンさんは30年以上チャリアダンスを続け、かつては様々な賞を受賞していたらしいけれども最近は腰を痛め、指導を中心にしている。チャリアの思想を広めるため本を書き、ダサイン(10月ごろある大きなお祭り)の時には220人ほどの人にチャリアダンスを指導し、披露していたりする。彼曰くチャリアダンスのインスティテュートがほとんどないのだそう。
と、いうのもそもそもチャリアダンスは儀式(儀礼)のためのダンスであって、人に見せたり、習い事で覚えるようなものではなく、システマティックな方法論というのもなかったものだからで、当然ネパールの人々もあまり知らない。(稽古場には様々な新聞記事で紹介されている切り抜きがあるけれども、あくまでマイナーなものの様子)稽古場も6畳一間くらいの狭さだ。カトマンドゥにもダンスクラスはあるけれども多くはエアロビクスやストリートダンスなど様々なダンスを扱っていてチャリアダンス一筋のところはないのだという。
そういうわけでこんな突然やって来た謎の踊子を受け入れることからして本来のチャリアダンスの形ではあり得ないことだが、それよりももっと多くの人に知ってもらいたいというチャンドラマンさんの意識が強い。「将来は正規のアカデミーを作るのが夢だ、そうしたら自分がいなくなってもちゃんとこのダンスが残るでしょう?自分がもらったものをちゃんと伝えたいんだ」と語るあたりがニヤカムさんに似ている。
怪しげな気もしながらも、毎朝7時から稽古を受けることになり、普通は6ヶ月かけるんだよとか言われながら超速習型でどんなことをしているのか教えてもらうことになる。朝から毎日だいたい1時間稽古して、チャンドラマンさんが来てちょっとお茶をして2時間くらいならってという形でガチガチではなくかなりゆるい感じだけれど稽古に参加させていただく。アシスタントとして入っていること、ヨガのマスターだという先生(わかる人にはわかるけれども内藤さんに似ていて、ネパールの内藤さんと思うことにする)と先生の娘さんの4人で毎日顔を合わせつつ、基本ステップから学んでいく。
そう、オリッシーダンスと同様に型があり、20あるというベーシックステップのうち18と16個の基本形を含んでいるダンス、始まりと終わりに必ずするダンスを教えていただく。インド舞踊の形に似ていなくもない。でも体の動かし方の概念が真逆に近い。


余談だが、チャンドラマンさんは1998年に日本に来たことがあるらしく(トヨタがスポンサーだったとも)、東京と京都で公演をし2ヶ月ほど滞在したとのこと。そんなこともあり、このポッとやって来た変わり者日本人を受け入れてくれたのかもしれない。また日本に来たいそうで、何かできたらいいなとも思う。(ホームステイで滞在できればどこでも行くと話しているので、受け入れできそうなところがいくつかあればできるのかもとも。ご興味のある方お知らせください)

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